スタッツでサッカー観が変わる①基本&ディフェンス編
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今回は基本とディフェンスの数字はどう評価するべきか紹介していきます。
最後に実践編として、ラモスとピケの昨季のスタッツの違いについて見ていきます!
スタッツってなに?
全く異なる個性を持つ選手たち一人ひとりがチームの一員としてプレーをするサッカー。
チームによってシステムは当然異なりますし、たとえ同じシステムを採用している場合でも監督の戦術、チーム状況、選手の個性や能力、また対戦相手次第でチームカラーは大きく変わっていきます。そしてそれこそがサッカーの奥深さだと考えています。
そのような中でも、選手のプレーを数値化することにより、ある程度客観的に評価をできるようにしたものがスタッツです!
このシリーズでは選手の特徴をより深く理解していくためのさまざまなスタッツについて紹介・解説していきます!
また、今回紹介するスタッツはWhoScored(https://www.whoscored.com/)に記載されているものとなります。
基本編
こちらのスタッツは上記サイトのSummaryに記載されているスタッツになります。
Apps: 試合の出場回数。
例)15(3)→15試合に先発出場、3試合に途中出場。
Mins: プレーした分数。
→怪我が少なくチームに欠かせない選手は必然的に高くなる。
Goals: 決めたゴールの数。
→最後に自らの身体にボールが当たってゴールラインを割った回数。当然ながらこの数値が高ければ高いほど優秀なアタッカーだ。
Assists:アシストをした回数。
→基本的には得点に直結するパスを示しているが、「アシスト」の定義は厳密に決められてはいない。ただ、この数値が高ければ高いほど得点に絡むプレーが多く、優れた選手と言える。
Yel: イエローカードを出された回数。
→当然ネガティブな数字。しかしカウンターからのチャンスを未然に防ぐ場合など、戦術的なファールの結果のイエローカードもあり、それに関してはむしろナイスと言われる。
Red:レッドカードを出された回数。
→言語道断。絶対に退場などすべきではないが、2010年のW杯でのスアレス、今季のスーペルコパでのフェデリコ・バルベルデのプレーのように、結果として勝利に繋がる場合もある。
SpG:1試合あたりのシュート本数。
→シュートへの積極性が伺える数字。シュートを撃たなければ点は決まらないのでその母数は多いほうがいいが、闇雲にシュートを打つだけの選手よりも数少ないチャンスを正確に決めきる選手の方が価値が高いのは明らか。
PS%:パス成功率。
→パスの正確さが表れる数字。当然高いに越したことはないが、チームの戦術や選手のプレー選択の特徴に影響を受けやすいので、必ずしも選手の実力は表れない。
AerialsWon: 1試合あたりの空中戦勝利回数。
→身長、身体能力、ポジショニングの良さが表れるポジティブな数字だが、ロングボールを多用するかどうかといった戦術の影響を受けやすく、数値の低い選手が実力、身体的に劣っているとは限らない。
MotM:マンオブザマッチの選出回数。
→その試合で最も輝いた選手が選ばれるマンオブザマッチ。得点に多く絡む強豪チームのエースはやはり選ばれる回数が多い。このサイトではサイト内の採点結果が両チーム通じて最も高い選手が選ばれているので、リーグ公式のMOMとは評価基準が異なる。
Rating: サイト独自の評価の平均点数(10点満点)。
→評価基準はあらゆるサイト、新聞、雑誌によって異なるものの、これが高い選手はコンスタントに活躍しているということが分かる。
ディフェンス編
以下のスタッツはDefensiveの欄に記載されているものになります。
この項目に関しては、チーム事情(強さや戦術)の影響を受けやすいということを踏まえておく必要があります。
例としては、全盛期のバルサのように常にボールを支配するチームの選手であれば、ディフェンス機会そのものが少ないので、優秀な選手でもクリアやブロックなどの数値が低くなりやすいといったことが挙げられます。
Tackles:1試合あたりのタックルの回数。
→ボール保持者に対してタックルをし、ファールせずにボールを奪えた回数なのでポジティブな数字。しかしハイプレス、リトリートのような守備戦術の影響を受けやすく、数値が低いからといって悪い選手とは限らない。
Inter:1試合あたりのインターセプトの回数。
→数値が高いほどパスをカットがうまい。ファールを犯さずにボールをリカバリーできカウンターに繋がりやすい素晴らしいプレー。ポジショニングのうまさ、つまりサッカーIQの高さが現れる項目。
Fouls:1試合あたりのファールを犯す回数。
→カウンターアタックを防ぐときなどやむを得ずファールを犯す場合もあるが、当然数値は低い方が望ましい。タックルが多い選手はそれだけファールをする回数も増えやすい。
Offsides:1試合あたりのオフサイドを取る回数。
→自身がオフサイドを取られた回数ではなく、最終ラインで相手のオフサイドを取った回数。相手との駆け引きのうまさが表れる数値のため高いほうがいいが、オフサイドトラップを仕掛けて失敗すれば相手の裏抜けを許すリスクは大きくなる。
Clear:1試合あたりのクリア回数。
→パスではなく危険回避のためにボールを蹴り出すプレーを表す。チーム戦術や強さに影響されやすい数値だが、ピンチの場面に居合わせられるポジショニングの結果であるので、高いほうがいいとされている。
Drb:1試合あたりのドリブルで抜かれる回数。
→相手にドリブルで突破を許すネガティブな数字なので低いほうがいい。スペースがあり、ドリブル突破をされやすい中盤やサイドの選手は高くなりがち。
Blocks:1試合あたりのシュートブロック回数。
→相手のシュートを身体に当てて防ぐプレー。シュートコースを切れているポジショニングの良さ、身体を張って飛び込んでいける勇敢さが表れてくる数字。失点を防ぐことに直結しているプレーなので、数値は高いほうがいい。
OwnG :オウンゴールをした回数。
→自陣のゴールラインを自ら割ってしまうプレーなので当然ネガティブな数字。しかし基本的にクリアを試みた結果起きてしまう不運なプレーであることが多いため、この回数の多さは選手の実力には直結していない場合が多いです。
ピケとラモスの比較
これまで学んできたスタッツについて、実例を見ながらおさらいしていきましょう!!
今回はジェラール・ピケとセルヒオ・ラモスの今季のラ・リーガでのスタッツを見ていきます!スペイン代表で長年CBのコンビを組み(ピケは代表引退済み)、クラブではスペイン2強のそれぞれの主軸として、仲間としても敵としても多くのトロフィーを掲げてきた2人ですが、選手としてどんな特徴が分かるでしょうか?
まず以下は基本編で紹介したスタッツです。オレンジで塗られているものは、2人を比較した際に一般的には優秀とされるものになります。
・Apps:2人とも35試合に先発出場しているので引き分け。全38試合のうちこれだけ多くの試合に出るのはすごいこと。大きな怪我やサスペンション(出場停止)もなくフル稼働だったと言える。
・Mins:お互いに1試合平均でほぼフル出場という数字になった。誤差のようなものだが79分だけ長くプレーしているピケの勝利。
・Goals:ピケの1得点に対し、ラモスはそこそこ優秀なフォワード並の11得点と圧勝。流石はリーガでのDF通算得点ランキングで歴代No.1タイ記録保持者となったラモス。(DF・MF両方としてプレーし、ラモス以上のゴールを決めたフェルナンド・イエロはMF登録らしい)
・Assists:お互いに0なので引き分け。
・Yel:イエローカードの枚数はピケの15枚に対してラモスは10枚。ラモスの勝ち。カウンターから攻められることが多いバルサのチーム事情が関係しているかもしれない。
・Red:引き分け。お互い0枚なのは素晴らしい。カードコレクターとして知られるラモスが1度も退場していないというのは個人的に意外だった。
・SpG:ピケの倍以上となる1試合平均1.1本を記録したラモスの勝利。ゴール数からも分かるように攻撃的なCBであると分かる。
・PS%:フィードに定評のある両者ともに90%を超えるハイレベルな争い。僅差ではあるが、91.8%を記録したピケの勝利。
・AerialsWon:ラモスの2回に対して3.7回と大きく上回ったピケの勝利。比べると身長が10cmほど高いピケに軍配が上がる結果となった。
・MotM:お互いに1回なので引き分け。目に見える結果を残しやすいアタッカーと比較すると、やはりDFからの選出は厳しい。その中でお互いに取っているのはすごい。
・Rating:僅差ではあるがラモスの勝利。
以上のことからは、両者ともにチームの主軸を担っていることが分かりました。違いとしては、CBとしては圧倒的な得点能力を誇っているラモスに対し、ピケは194cmの長身を活かした空中戦での勝利回数で上回ることが挙げられます。
次に守備編で紹介したスタッツについて見ていきましょう!
・Tackles:ピケの0.9回に対してラモスは1.3回をマーク。ラモスの勝利。
・Inter:ピケの1回に対しラモスは1.4回を記録。こちらもラモスの勝利。
・Fouls:ファールの少なさではピケの勝利。
・Offsides:ラモスの倍近い0.7回を記録したピケの勝利。
・Clear:1試合平均でラモスを1.5回分上回ったピケの勝利。
・Drb:ピケが1試合あたりにドリブルで抜かれる回数は、ラモスの半分の0.3回。こちらもピケの勝利。
・Blocks:ラモスの倍以上の0.7回を記録したピケの勝利。
・OwnG:オウンゴールはお互いに0なので引き分け。
以上より、ラモスはタックルやインターセプトが多く、その結果としてファールやドリブル突破される回数が増えていることから、よりアグレッシブなディフェンスをする傾向にあることが分かります。一方のピケはクリアやブロックの回数が多く、最終ラインの番人のような印象を受けました。
上でも説明したように、これらは単純にスタッツから分かる情報のみで勝敗をつけており、クラブの事情、選手の役割の違いなどについては一切考慮していません。
おわり
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
今回は主にディフェンスに関するスタッツについて紹介しましたが、スタッツを見れば選手の特徴を一目で把握できることが分かりました。
次回はオフェンスのスタッツについて紹介していきますので、そちらもぜひご覧ください!