今季絶好調のソシエダ、その強さに迫る
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今季も強いレアル・ソシエダ
昨季は終盤までCL圏内を争い、失速するも最後はなんとかEL出場権を獲得したラ・レアル。
今季もリーガ6連勝で暫定首位(11.23現在)と勢いに乗っていますが、今回はその強さについてスタッツから掘り下げていきます!
ぜひ最後までご覧ください!
以下の動画では小沢さん、倉敷さんが詳しく語ってくれています。こちらもぜひ見てみてください!(DAZNでも私が一番好きな解説・実況のコンビです!)
昨季からの大きな変化
・主力選手の変化
①昨季の主力だったセンターバックのディエゴ・ジョレンテがプレミア昇格組のリーズに移籍し、準レギュラー的な立ち位置だったアリツ・エルストンドがレギュラーに昇格。
②トップ下はローン選手のマルティン・ウーデゴーがマドリーに帰還し、マンチェスターシティからダビ・シルバが加入。
③ワンボランチには、昨季コロナ明けから出てきたカンテラ上がりのマルティン・スビメンディが、昨季までレギュラーだったイゴール・スベルディアを差し置いて定着。
・システムの変化
昨季はほとんどの試合が4-2-3-1だったが、今季は4-1-4-1(4-3-3)がメイン。左のボランチでの出場が多かったミケル・メリーノが一つ前に上がる形になっている。
・カンテラーノだらけのチーム
アウェイでカディスに1-0で勝利した試合(11.23開催)では、メンバー入りした23名のうち、15名が下部組織上がりの選手!!!
監督のアルグアシルはBチームから昇格した人物で、以前からカンテラーノを重用しているのは知っていたがここまでとは!!
アウェイで強い
上のグラフは左から、全試合・ホーム・アウェイにおける1試合当たりの勝ち点を表している。
今季ここまでを見る限り、ホームでも強いが、それ以上にアウェイでの異常なまでの強さが見て取れる。
ホームスタジアムのアノエタが要塞というイメージを持っていただけに、アウェイでリーグ最強というのは意外。
(ホームでは最弱なのにアウェイはリーグ2位という「あまのじゃくなカディス」が面白すぎる笑)
得点力、守備力共にリーグ屈指
これは左が1試合当たりの平均得点、右が1試合当たりの平均失点を表している。
これは暫定2位のアトレティコがめちゃめちゃ強い(ソシエダよりも消化試合が2試合少なく、勝ち点差3)ということを表しているグラフになっている。
というのは半分冗談で、ソシエダは10試合を終えて21得点4失点と、かなり素晴らしい成績を残しているのが分かる。
平均で毎試合複数得点、半分以上の試合をクリーンシート(無失点)で終えているのだから、そりゃ勝ち点も積み上がるに決まっている。
どこからでも点が取れる
これを見ると、現時点でのピチーチ(得点王)の左ウイング・オヤルサバルを中心に、右のポルトゥ・1トップで出場するイサクやジョゼ・トップ下のダビ・シルバやメリーノのみんなが得点・アシストを量産していることが分かる。
さらにレギュラーではないヤヌザイ、ロベルト・ロペス、サイドバックのモンレアルやゴロサベルも得点に絡んでおり、特定の誰かに依存していないチームだからこそ、多くの試合で安定して点を取れている。
以下の図からは、サイドを中心としたバランスの良い攻めができていることが分かる。
(https://www.whoscored.com/より引用)
さらに、以下の表は得点パターンの豊富さを物語っている。
(上から 流れ・PK・セットプレー・カウンター)
(https://www.whoscored.com/より引用)
このように、誰でも・どこからでも・どのような形でも得点を量産できることが自慢のチームだ。
決定機を与えない守備
下のグラフはゴールキーパーのシュートセーブ率を示している。
ここからは、世界最強のシュートストッパー、ヤン・オブラクが所属しているアトレティコに続き、ソシエダの守護神・レミロはリーグ2位の非常に高いセーブ率を誇っていることが分かる。
また、次のグラフは左から、90分当たりの被シュート数、90分当たりの被枠内シュート数を表している。
こちらもソシエダはリーグ2位という素晴らしい結果を納めている。
ここからは、ソシエダのDF陣がしっかりと仕事をして相手のアタッカーの自由を奪い、それによってシュートの被弾を減らし、キーパーがセーブできないような良いシュートを撃たせていないと推測できる。
上記の守備人の努力の結果がこちらのグラフだ。
これは90分当たりのゴール期待値を表しているが、こちらもリーグ2位につけている。
※ゴール期待値:シュートを撃つ距離や角度、パスや相手の状況など、様々なものを考慮してシュートが決まる確率を求めるめちゃくちゃ複雑なスタッツです。シュート1本につき0〜1(=0〜100%)で表します。
また、これまでの合計のゴール期待値は7.2点となっている。実際には4点しか失っていないことを考えると、キーパーのレミロも大活躍していると言える。
守備における他クラブの注目ポイントとしては、まず1位のアトレティック(ビルバオ)だ。
かつてソシエダに所属していたイニゴ・マルティネス、ガンから復活して活躍しているジェライ・アルバレス、ウナイ・ヌニェス、ウナイ・シモンとスペイン代表にも名を連ねるようなセンターバックやゴールキーパーが揃っており、彼らの貢献度の大きさがうかがえる。
慢性的な得点力不足に毎シーズン悩んでいるチームで今季も下位に沈んでいるチームを支えていってほしい。
次にアトレティコだ。こちらはエグい。
被シュート数・被枠内シュート数共にリーグ中位であり、一見決して優秀とは言えない数字にも関わらず、実際に失点した数は圧倒的に少なく、8試合を終えて2失点に抑えている。
ガビ退団以降守備が緩くなったと言われ続けているものの、依然しっかりと守りタフショットしか選択肢を与えず、崩されたとしてもオブラクがいるという絶望感は相手からしたらすごいだろうな。
おわり
最後までご覧いただきありがとうございました。
攻守両面で躍動するレアル・ソシエダについて、データを基に強さの理由を解説しました。
記事を書いた私自身、今季は時間を取れずこのクラブの試合をあまり見れずにいましたが、リサーチしていく中で観てみたいと思わされました!
皆さんもこの記事を読んでラ・リーガに興味を持っていただけたら幸いです!
また記事にしてほしいテーマ等ございましたら、お気軽にコメントいただけたらと思います。よろしくお願いします!
スタッツでサッカー観が変わる③チーム編
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チームごとの特徴も数字を見れば明らか
試合を観ている最中に、両チームがどのようなサッカーをしているのかを理解することは意外と難しいものです。ですが、事前にスタッツを読み解けばより試合観戦における理解度も増すことでしょう。
例えばボール支配率やパスの本数を見ればどれだけボールを持つことを好むチームか、またゴール数、シュート本数、ゴールの内訳やシュートを放った位置を見れば得点力やチームの得点のパターンが分かります。
前回までは個人のスタッツについて観てきましたが、今回はチーム全体で収めた成績における項目を紹介します!
これまで同様、WhoScored(https://www.whoscored.com/))に記載されているスタッツ項目となります!
チームのスタッツの項目
各選手のスタッツと共通しており、それが個人からチーム全体に変化しただけの項目がほとんどです。
前回までの記事で既出のものに関しては、こちらでは簡潔な説明に留めますので、詳しく知りたい方は以下の2つの記事をご覧ください!
チームのスタッツ
それではWhoScoredのTeam Statisticsの欄に記載されているものから見ていきましょう!
・Summary
Apps:チームの試合数
Goals:チームのゴール数
Shots pg:1試合あたりのチームのシュート本数
Discipline:チーム全体のイエローカードとレッドカードの枚数
→試合中に警告を受ければ積極的なディフェンスがしにくくなり、また退場すれば数的不利となる。さらに累積警告や退場はサスペンション(次節出場停止)に繋がってしまうため、カードをもらう枚数は極力抑えたい。
Possession%:チームの平均ボール支配率
→チームがどれだけボールを保持しているかが分かる数値。リーグ戦での上位と下位のチームを比較した場合、基本的には上位チームが上回ることが多く、ある程度、支配率はチームの実力に比例すると考えられる。
しかし戦術によってはそれが当てはまらないこともある。例えば2013/14シーズンのラ・リーガでは、優勝したアトレティコ・マドリーはリーグ10位の49.1%、一方12位でシーズンを終えたラージョ・バジェカーノはバルセロナに次ぐリーグ2位の56.8%を記録している。
(勝ち点と支配率の相関関係については今後記事にしていきたいと考えています!)
Pass%:チーム全体のパス成功率
AerialsWon:1試合あたりの空中戦勝利数
Rating:チーム全選手の評価の平均
・Defensive
Shots pg:1試合あたりの被シュート数
Tackles pg:1試合あたりのタックル数
Interceptions pg:1試合あたりのインターセプト数
Fouls pg:1試合あたりの犯したファール数
Offsides pg:1試合あたりのオフサイドを取った数
・Offensive
Shots pg:1試合あたりの撃ったシュート本数
Shots OT pg:1試合あたりの枠内シュート数
→当然ではあるが、得点を奪うためには枠内にシュートを飛ばす必要があるため、シュート本数における枠内シュート数の割合が高い方が良い。
Dribbles pg:1試合あたりのドリブル突破数
Fouled pg:1試合あたりの被ファール数
状況ごとのスタッツ
次に、Situational Statisticsの欄に記載されているものを見ていきましょう!
以下のGoal TypesとPass Typesにおいては、For(自チームの攻撃における数値)とAgainst(相手の攻撃における数値)を選択できます!
・Goal Types
ここではどのような状況で得点/失点したかを見ることができます!
Open Play:オープンプレー、つまりプレーが続いている状態での得点
Counter Attack:守備側がボールを奪い、相手の陣形が整う前に決めた得点
→オープンプレーとは区別されている。
Set Piece:セットプレーから生まれた得点
Penalty:PKによる得点
Own Goal:オウンゴールによる得点
・Pass Types
ここでは成功したパスの内訳を見ることができます!
Cross pg:1試合あたりのクロス成功数
→クロスとは、ワイドポジションから中央のアタッキングエリアに放り込まれたパスのこと。
Through Ball pg:1試合あたりのスルーパスの成功数
→スルーパスとは、相手チームの選手の間を通して、ゴール方向へと走っている味方に通すパスのこと。
Long Balls pg:1試合あたりのロングパスの成功数
→ロングパスとは、25ヤード(22.86メートル)以上の距離のパスのこと。
Short Passes pg:1試合あたりのショートパスの成功数
→ショートパスとは、25ヤード以下の距離のパスのこと。
・Card Situations
ここではカードが出された理由について見ることができます!
Fouls:プレーの中のファールによるもの
Unprofessional:プロフェッショナルとして相応しくない行為によるもの
→サイトには明確な基準が書かれていないものの、主に審判への抗議かと思われる。
Dive:シミュレーションと判断されたもの
→イングランドではルール改定で厳罰化し、各国でもVAR導入以降はごまかしが利かず、すぐにバレるようになった。
Other:その他
→Unprofessionalとの違いが明確ではないが、遅延行為などかと思われる。
ポジションに関するスタッツ
最後に、Positional Statisticsの欄に記載されているものを見ていきましょう!
Attack Sides:ピッチを横に3等分(Left Side,Middle of the pitch,Right Side)し、それぞれのレーンから行われる攻撃の割合。
(引用:https://www.whoscored.com/)
Action Zones:ピッチを縦に3等分(Own Third,Middle Third,Opposition Third)し、各エリアにおけるポゼッションの割合。
(引用:https://www.whoscored.com/)
Shot Directions:ピッチを横に3等分(Left Side,Middle,Right Side)し、それぞれのレーンからシュートが撃たれた割合。
(引用:https://www.whoscored.com/)
Shot Zones:ゴールエリア、ペナルティエリア、エリア外のそれぞれの位置で撃たれたシュートの割合。
(引用:https://www.whoscored.com/)
ユヴェントスとインテルの比較
以上で紹介したスタッツについて、実例をもとにおさらいしましょう!
今回は昨季のセリエAで終盤に優勝争いをしていた2チームを比較します!
まず現在首位に位置するユヴェントス。昨シーズン5大リーグにおける歴代最長となる8連覇を達成しました。
そのユーヴェに勝ち点1で敗れたのがインテル。失点数はリーグ最少でした。
その両者の戦い方にはどのような違いがあったのでしょうか?
それでは、今回の記事で紹介した順にスタッツを見ていきましょう!
ゴール数はインテルが上回っています。ユヴェントスは1試合あたりのシュート本数では上回るものの、ゴール数には繋がっていないことが分かります。
またボール支配率やパスの成功率においてはユヴェントスが勝っています。これは昨季指揮していたサッリ監督の戦術も影響しているでしょう。空中戦の勝利数においては強固なセンターラインを誇るインテルが上回っています。
また平均レーティングでは、順位通りユヴェントスが上回りました。
ちなみにユヴェントスの平均レーティングはリーグ2位、インテルは3位でした。1位は得点数においてもリーグNo.1を誇るアタランタ(リーグ順位は3位)であり、このサイトでの評価は、攻撃面での数字が重要視されていると推測できます。
守備面においては、合計失点数の差は大きい(ユヴェントス:43、インテル:36)ものの、スタッツはほぼ互角です。全て僅差ですが、被シュート数の少なさ、オフサイド数はインテルが、タックル数、ファールの少なさにおいてはユヴェントスの方が優秀であると言えます。
攻撃面ではシュート数、枠内シュート数、ドリブル突破数、ファール獲得数の全スタッツでユヴェントスが上回っています。ですが、それにも関わらず得点数は5点下回っている理由として、決定力がない(シュートパワー、コースの甘さなど)ことや遠距離からのタフショットが多いといった可能性が挙げられます。
この理由については、以降の数字からヒントを得られるかもしれません!
次にゴール数の内訳です。合計ゴール数はユヴェントス:76、インテル:81です。多くの項目で両クラブ均衡している一方、最も差がついている項目がオープンプレイです。インテルの方が流れの中で崩すシーンが多いということがわかります。
ユヴェントスよりもインテルの方が相手を崩し切るシーンが多かったのではないかと考えられます。
おわり
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました!
今回はかなり多くの観点からチームの特徴について考えていきましたが、これと合わせて各選手の個人スタッツを見ていくことでより深い考察ができるでしょう!
初のシリーズ記事となりましたが、いかがでしたでしょうか?
今後はスタッツを通してのチームや選手の紹介、他には各国におけるサッカー文化や各クラブの歴史について見ていこうと考えています!また、より基本的なスタッツの見方、アドバンスドスタッツ についても機会があれば紹介していきたいです。
スタッツでサッカー観が変わる②オフェンス&パス編
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ゴールやアシストの数が全てではない!
攻撃的な選手を評価する場合、真っ先に思い浮かぶ数値はゴール、アシストでしょう。
アタッカーの場合、ゴールやアシストのような明確なゴールへの貢献は重要ですが、同時にこれらの数字には表れない選手の活躍があるのも確かです。例えば同じウイングでも、ドリブルで相手守備陣を混乱させられる選手、正確なクロスを武器にする選手、サイドに張らずストライカーのようにプレーする選手...と多種多様です。
この記事で紹介していくスタッツを知れば、攻撃的な選手のプレースタイルの理解に役立ちます!ぜひ最後までご覧ください!
今回も次のサイトを参考にしています!WhoScored(https://www.whoscored.com/)
オフェンス編
以下はWhoscoredにおける選手のスタッツのOffensiveに記載されているものです!
Goals: 決めたゴールの数。
→最後に自らの身体にボールが当たってゴールラインを割った回数。当然ながらこの数値が高ければ高いほど優秀なアタッカーだ。
Assists:アシストをした回数。
→基本的には得点に直結するパスを示しているが、「アシスト」の定義は厳密に決められてはいない。ただ、この数値が高ければ高いほど得点に絡むプレーが多く、優れた選手と言える。
SpG:1試合あたりのシュート本数。
→シュートへの積極性が伺える数字。シュートを撃たなければ点は決まらないのでその母数は多いほうがいいが、闇雲にシュートを打つだけの選手よりも数少ないチャンスを正確に決めきる選手の方が価値が高いのは明らか。
KeyP:1試合あたりのキーパスの回数。
→キーパスとは味方のシュートに繋がったパスのこと。数字が大きいほどチャンスメイクに貢献しているという評価になる。
アシスト数はシュートを撃つ選手の決定力に左右される分、キーパス数はより公平なパスの出し手への評価だと言える。アシストにも共通することだが、パスを受けた味方が強引にシュートを撃った場合も、受け手がボールに触るだけでゴールできる完璧なパスを出した場合もスタッツでは同じ評価となる点にスタッツの不完全さが見える。
Drb:1試合あたりのドリブル突破数。
→ドリブルで相手を抜き去った回数。この数字が大きい選手はドリブルを好んでいると言えるが、この数字からは成功率は分からない。
Fouled:1試合あたりのファールを受けた回数。
→ボールを長く所持するドリブラーはタックルを受ける回数が多くなるため、この数値は高くなりやすい。しばしば「ファールでなければ止められない」と表現されることからも、ドリブルの名手はファールを受けやすいことが分かる。
Off:1試合あたりのオフサイドを取られた回数。
→裏抜けを狙う選手は、オフサイドライン付近でのセンチ単位のポジショニングが問われるため多くなりがち。VAR導入後は以前よりも厳密にチェックをされるようになった。
Disp:1試合あたりのボールロストの回数。
→タックルを受けてボールを失った回数。ドリブルで相手を抜こうとしている際のボールロストは別枠でカテゴライズされるので、ここではカウントしない。
(このサイトではドリブル突破でのボールロストはDetailed→Dribbles→Unsuccessfulにカウントされている。)
UnsTch:1試合あたりのコントロールミスの回数。
→ボールコントロールにおけるミスでボールを失った回数。
パス編
以下はWhoscoredにおける選手のスタッツのPassingに記載されているものです!
Assists:アシストをした回数。
KeyP:1試合あたりのキーパスの回数。
AvgP:1試合あたりの味方に渡ったパスの数。
→その選手にどれだけボールが回ってくるかが表れる数字。基本的にはチームのボール支配率と比例して多くなる。また、センターバックやボランチの選手は自陣でビルドアップを行うため、前線の選手と比較して多くなりがち。
PS%:パスの成功率。
→パスの正確さが表れる数字。当然高いに越したことはないが、チームの戦術や選手のプレー選択の特徴に影響を受けやすいので、必ずしも選手のパスのうまさが表れているとは言えない。
Crosses:1試合あたりの成功したクロスの本数。
→クロスはワイドポジションから中央のアタッキングエリアに放り込まれたパスと定義されている。このスタッツは味方への正確なクロスの本数をカウントしている。
LongB:1試合あたりのロングボール成功数。
→ロングボールの定義は、25ヤード(22.86メートル)以上のパスとされている。チームの戦術によってこの本数は大きく変化するので、この数字からは選手の優劣は測れない。
ThrB:1試合あたりのスルーパスの本数。
→このサイトでのスルーパスの定義は、相手チームの選手の間を通して、ゴール方向へと走っている味方に通すパスのこと。スペースや味方選手の動きを把握してパスを出せる能力が表れる数字。
マネとサラーの比較
特にパスのスタッツはチームの戦術や強さの影響を大きく受けるので、今回は同一チームの選手を見ていきます!
昨季プレミアリーグ初制覇を達成し、今季のリヴァプールにも欠かせない両ウイング、サディオ・マネとモハメド・サラーを昨季のオフェンスとパスのスタッツから比較します!
オフェンス編
・Apps:マネは31試合に先発、4試合に途中出場、サラーは33試合に先発出場、1試合に途中出場。
・Mins:サラーの勝ち。先発出場数が2試合多いサラーが累計出場時間も132分上回る。
・Goals:僅差でサラーの勝ち。マネの18ゴールに対し、サラーは19ゴール。
・Assists:サラーの勝ち。マネの7アシストに対してサラーは10アシストを記録している。
・SpG:サラーが大きく上回る。マネを1.5本分上回る3.8本をサラーは記録している。
・KeyP:サラーの勝ち。アシスト数同様、キーパス数もサラーの方が多かった。
・Drb:1試合平均2回を記録したマネが上回る。
・Fouled:サラーの3倍となる1試合平均1.5回のファールをマネは受けている。マネの方が相手にとって危険なドリブルをしている証だろうか。
・Off:オフサイドを取られる回数はサラーの方が多かった。
・Disp:ボールロスト数はサラーの2回に対し、マネは1.6回と少ないことが分かった。
・UnsTch:ボールコントロールでのミスはマネの2.9回に対してサラーは2.6回と、こちらはサラーの方が少なかった。
・Rating:僅差ではあるが、0.05の差でマネが上回った。
パス編
オフェンス編と重複しているスタッツは省きます。
・AvgP:1試合あたりのパス成功数はマネが1試合平均で約3本分上回った。
・PS%:パス成功率もマネが約5%と大きな差をつけ上回っている。平均キーパス数ではサラーが上回っていることから、サラーはマネよりもチャレンジングなパスを出す傾向があるという仮説に導ける。
・Crosses:平均クロス本数は僅差でサラーが上回った。
・LongB:平均ロングボール数はマネが大きく上回った。
・ThrB:スルーパスは2人ともあまり出していないことが分かる。
オフェンス編とパス編を振り返ると、ゴール・アシストの数は両者近い数字が出ている一方、シュートやキーパスの本数、オフサイドの多さからサラーはマネよりも思い切りのよさが見られる。
おまけ
現代サッカーでは、アタッカーにも守備での貢献が求められています。
そこで守備面でも2人を比較してみます。
・Tackles:サラーの倍以上となる1.3回のタックルを1試合あたり成功させている。
・Inter:マネが上回る。
・Fouls:マネがサラーの倍以上となる1.3回のファールを1試合平均で取られている。タックルを仕掛けている回数が多いためファール数が増えるのは当然ではある。
・Offsides:互いに皆無。アタッカーが最終ラインにいることは基本ないため納得。
・Clear:こちらもマネが上回る。
・Drb:サラーの方が突破される回数は少ない。
・Blocks:互いに今シーズン0回。
・OwnG:互いに今シーズン0本。
この結果から、マネの守備面における貢献度はサラーを大きく上回ることが分かった。これだけ献身的な守備をしながら得点にも多く絡んでいるところが素晴らしいと感じた。
また、ディフェンスに関するスタッツについては以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください!
↓↓↓
おわり
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました!
リヴァプールの得点源である両翼を比較してみると、意外な発見がありました。
次回はチームのスタッツについて紹介していくので、そちらもぜひご覧ください!(WhoScoredではキーパーに関するスタッツ の記載が不十分なため、別の企画にて紹介いたします。)
気になるトピックや記事に関するご意見等ございましたら、お気軽にコメントをください!よろしくお願いいたします!
スタッツでサッカー観が変わる①基本&ディフェンス編
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今回は基本とディフェンスの数字はどう評価するべきか紹介していきます。
最後に実践編として、ラモスとピケの昨季のスタッツの違いについて見ていきます!
スタッツってなに?
全く異なる個性を持つ選手たち一人ひとりがチームの一員としてプレーをするサッカー。
チームによってシステムは当然異なりますし、たとえ同じシステムを採用している場合でも監督の戦術、チーム状況、選手の個性や能力、また対戦相手次第でチームカラーは大きく変わっていきます。そしてそれこそがサッカーの奥深さだと考えています。
そのような中でも、選手のプレーを数値化することにより、ある程度客観的に評価をできるようにしたものがスタッツです!
このシリーズでは選手の特徴をより深く理解していくためのさまざまなスタッツについて紹介・解説していきます!
また、今回紹介するスタッツはWhoScored(https://www.whoscored.com/)に記載されているものとなります。
基本編
こちらのスタッツは上記サイトのSummaryに記載されているスタッツになります。
Apps: 試合の出場回数。
例)15(3)→15試合に先発出場、3試合に途中出場。
Mins: プレーした分数。
→怪我が少なくチームに欠かせない選手は必然的に高くなる。
Goals: 決めたゴールの数。
→最後に自らの身体にボールが当たってゴールラインを割った回数。当然ながらこの数値が高ければ高いほど優秀なアタッカーだ。
Assists:アシストをした回数。
→基本的には得点に直結するパスを示しているが、「アシスト」の定義は厳密に決められてはいない。ただ、この数値が高ければ高いほど得点に絡むプレーが多く、優れた選手と言える。
Yel: イエローカードを出された回数。
→当然ネガティブな数字。しかしカウンターからのチャンスを未然に防ぐ場合など、戦術的なファールの結果のイエローカードもあり、それに関してはむしろナイスと言われる。
Red:レッドカードを出された回数。
→言語道断。絶対に退場などすべきではないが、2010年のW杯でのスアレス、今季のスーペルコパでのフェデリコ・バルベルデのプレーのように、結果として勝利に繋がる場合もある。
SpG:1試合あたりのシュート本数。
→シュートへの積極性が伺える数字。シュートを撃たなければ点は決まらないのでその母数は多いほうがいいが、闇雲にシュートを打つだけの選手よりも数少ないチャンスを正確に決めきる選手の方が価値が高いのは明らか。
PS%:パス成功率。
→パスの正確さが表れる数字。当然高いに越したことはないが、チームの戦術や選手のプレー選択の特徴に影響を受けやすいので、必ずしも選手の実力は表れない。
AerialsWon: 1試合あたりの空中戦勝利回数。
→身長、身体能力、ポジショニングの良さが表れるポジティブな数字だが、ロングボールを多用するかどうかといった戦術の影響を受けやすく、数値の低い選手が実力、身体的に劣っているとは限らない。
MotM:マンオブザマッチの選出回数。
→その試合で最も輝いた選手が選ばれるマンオブザマッチ。得点に多く絡む強豪チームのエースはやはり選ばれる回数が多い。このサイトではサイト内の採点結果が両チーム通じて最も高い選手が選ばれているので、リーグ公式のMOMとは評価基準が異なる。
Rating: サイト独自の評価の平均点数(10点満点)。
→評価基準はあらゆるサイト、新聞、雑誌によって異なるものの、これが高い選手はコンスタントに活躍しているということが分かる。
ディフェンス編
以下のスタッツはDefensiveの欄に記載されているものになります。
この項目に関しては、チーム事情(強さや戦術)の影響を受けやすいということを踏まえておく必要があります。
例としては、全盛期のバルサのように常にボールを支配するチームの選手であれば、ディフェンス機会そのものが少ないので、優秀な選手でもクリアやブロックなどの数値が低くなりやすいといったことが挙げられます。
Tackles:1試合あたりのタックルの回数。
→ボール保持者に対してタックルをし、ファールせずにボールを奪えた回数なのでポジティブな数字。しかしハイプレス、リトリートのような守備戦術の影響を受けやすく、数値が低いからといって悪い選手とは限らない。
Inter:1試合あたりのインターセプトの回数。
→数値が高いほどパスをカットがうまい。ファールを犯さずにボールをリカバリーできカウンターに繋がりやすい素晴らしいプレー。ポジショニングのうまさ、つまりサッカーIQの高さが現れる項目。
Fouls:1試合あたりのファールを犯す回数。
→カウンターアタックを防ぐときなどやむを得ずファールを犯す場合もあるが、当然数値は低い方が望ましい。タックルが多い選手はそれだけファールをする回数も増えやすい。
Offsides:1試合あたりのオフサイドを取る回数。
→自身がオフサイドを取られた回数ではなく、最終ラインで相手のオフサイドを取った回数。相手との駆け引きのうまさが表れる数値のため高いほうがいいが、オフサイドトラップを仕掛けて失敗すれば相手の裏抜けを許すリスクは大きくなる。
Clear:1試合あたりのクリア回数。
→パスではなく危険回避のためにボールを蹴り出すプレーを表す。チーム戦術や強さに影響されやすい数値だが、ピンチの場面に居合わせられるポジショニングの結果であるので、高いほうがいいとされている。
Drb:1試合あたりのドリブルで抜かれる回数。
→相手にドリブルで突破を許すネガティブな数字なので低いほうがいい。スペースがあり、ドリブル突破をされやすい中盤やサイドの選手は高くなりがち。
Blocks:1試合あたりのシュートブロック回数。
→相手のシュートを身体に当てて防ぐプレー。シュートコースを切れているポジショニングの良さ、身体を張って飛び込んでいける勇敢さが表れてくる数字。失点を防ぐことに直結しているプレーなので、数値は高いほうがいい。
OwnG :オウンゴールをした回数。
→自陣のゴールラインを自ら割ってしまうプレーなので当然ネガティブな数字。しかし基本的にクリアを試みた結果起きてしまう不運なプレーであることが多いため、この回数の多さは選手の実力には直結していない場合が多いです。
ピケとラモスの比較
これまで学んできたスタッツについて、実例を見ながらおさらいしていきましょう!!
今回はジェラール・ピケとセルヒオ・ラモスの今季のラ・リーガでのスタッツを見ていきます!スペイン代表で長年CBのコンビを組み(ピケは代表引退済み)、クラブではスペイン2強のそれぞれの主軸として、仲間としても敵としても多くのトロフィーを掲げてきた2人ですが、選手としてどんな特徴が分かるでしょうか?
まず以下は基本編で紹介したスタッツです。オレンジで塗られているものは、2人を比較した際に一般的には優秀とされるものになります。
・Apps:2人とも35試合に先発出場しているので引き分け。全38試合のうちこれだけ多くの試合に出るのはすごいこと。大きな怪我やサスペンション(出場停止)もなくフル稼働だったと言える。
・Mins:お互いに1試合平均でほぼフル出場という数字になった。誤差のようなものだが79分だけ長くプレーしているピケの勝利。
・Goals:ピケの1得点に対し、ラモスはそこそこ優秀なフォワード並の11得点と圧勝。流石はリーガでのDF通算得点ランキングで歴代No.1タイ記録保持者となったラモス。(DF・MF両方としてプレーし、ラモス以上のゴールを決めたフェルナンド・イエロはMF登録らしい)
・Assists:お互いに0なので引き分け。
・Yel:イエローカードの枚数はピケの15枚に対してラモスは10枚。ラモスの勝ち。カウンターから攻められることが多いバルサのチーム事情が関係しているかもしれない。
・Red:引き分け。お互い0枚なのは素晴らしい。カードコレクターとして知られるラモスが1度も退場していないというのは個人的に意外だった。
・SpG:ピケの倍以上となる1試合平均1.1本を記録したラモスの勝利。ゴール数からも分かるように攻撃的なCBであると分かる。
・PS%:フィードに定評のある両者ともに90%を超えるハイレベルな争い。僅差ではあるが、91.8%を記録したピケの勝利。
・AerialsWon:ラモスの2回に対して3.7回と大きく上回ったピケの勝利。比べると身長が10cmほど高いピケに軍配が上がる結果となった。
・MotM:お互いに1回なので引き分け。目に見える結果を残しやすいアタッカーと比較すると、やはりDFからの選出は厳しい。その中でお互いに取っているのはすごい。
・Rating:僅差ではあるがラモスの勝利。
以上のことからは、両者ともにチームの主軸を担っていることが分かりました。違いとしては、CBとしては圧倒的な得点能力を誇っているラモスに対し、ピケは194cmの長身を活かした空中戦での勝利回数で上回ることが挙げられます。
次に守備編で紹介したスタッツについて見ていきましょう!
・Tackles:ピケの0.9回に対してラモスは1.3回をマーク。ラモスの勝利。
・Inter:ピケの1回に対しラモスは1.4回を記録。こちらもラモスの勝利。
・Fouls:ファールの少なさではピケの勝利。
・Offsides:ラモスの倍近い0.7回を記録したピケの勝利。
・Clear:1試合平均でラモスを1.5回分上回ったピケの勝利。
・Drb:ピケが1試合あたりにドリブルで抜かれる回数は、ラモスの半分の0.3回。こちらもピケの勝利。
・Blocks:ラモスの倍以上の0.7回を記録したピケの勝利。
・OwnG:オウンゴールはお互いに0なので引き分け。
以上より、ラモスはタックルやインターセプトが多く、その結果としてファールやドリブル突破される回数が増えていることから、よりアグレッシブなディフェンスをする傾向にあることが分かります。一方のピケはクリアやブロックの回数が多く、最終ラインの番人のような印象を受けました。
上でも説明したように、これらは単純にスタッツから分かる情報のみで勝敗をつけており、クラブの事情、選手の役割の違いなどについては一切考慮していません。
おわり
最後までご覧いただき、ありがとうございました!
今回は主にディフェンスに関するスタッツについて紹介しましたが、スタッツを見れば選手の特徴を一目で把握できることが分かりました。
次回はオフェンスのスタッツについて紹介していきますので、そちらもぜひご覧ください!
自己紹介
初めまして!スポーツ大好き、にーにょです!
こちらの記事をご覧いただきありがとうございます!
このブログでは、サッカーを中心に、NBAや野球といったスポーツについてスタッツをもとに見ていこうと思います!
にーにょについて
都内の大学に通っている学部3年生です。
課外活動でライティング関係の仕事に携わったこともあり、「誰にでも伝わる文章」を書くことには自信があります!
サッカーに関しては、小学生の頃に1年間、中学校の部活で3年間、大学でフットサルを1年間プレーした程度で実績はほとんどないです。
一方、親の影響もあり、幼い頃から試合観戦やゲームなど、サッカーは身近だったと言えます。
現在はスペインのサッカーに強い関心を持っており、年間通して多くの試合を観ています!(アトレティコ・マドリーサポ)
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おわりに
ここまでご覧いただきありがとうございます。
現在ネットには海外の翻訳しただけの雑な記事が多く出回っていますが、客観的な数字であるスタッツを通じ、新たなスポーツ観戦の楽しみ方を提供していきますので、ぜひ記事の方も見ていってください!
またサッカーに関して関心のあるテーマやご意見等ございましたら、気軽にコメントをいただけると嬉しいです!
それでは、よろしくお願いいたします!!